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第五回 錦鯉の産卵法(後編)
     (2003年4月30日発行記事)


水槽錦鯉かにかにです。今回は、錦鯉の産卵法(後編)です。前編の記事を読まれていない方や、読んだけれども忘れてしまったという方につきましては、私のホームページ「水槽錦鯉」に転載してありますので、ここから先を読む前に、下記アドレスから移動して、ぜひ一度目を通していただければと思います。

「水槽錦鯉」ホームページ

http://suiso-nishikigoi.hp.infoseek.co.jp

早速ですが、今、容器には満々と水が張られ、十分に効かされたエアレーションがつくる流れに、人口水草がたなびいている状況にあるといたしましょう。まずはその中に雄の錦鯉を放していただきたいのですが、私のホームページによくある質問の一つに、「鯉の雌雄の見分け方を教えて欲しい」というものがあります。

産卵にあたって、これ以上に重要な問題はないのですが、実は、これが簡単には回答のできない大問題なのです。ビッダーズの錦鯉オークションサイトで、販売されている錦鯉の説明文の中にも、「99%メス」であるとか「オスっぽい」といった、断定されていないあいまいな表現が結構あります。長く鯉を扱っているプロでも、雌雄の判断は難しいということです。極論を言えば、卵を産んだことが確認できてはじめて、その鯉が雌であると断言できるようになるわけです。

とはいえ、狭い容器ですから、「雌雄がわからないけれども、念のため多めに鯉を放しておけば、何とかなるだろう」という発想から、多数の錦鯉を産卵のために使用するわけにはいきませんので、とにかく雌雄を選ばなければなりません。判断基準は厳密には色々ありますが、紙数がありませんので、一点だけ。同じ条件下で飼っている錦鯉で、なおかつ年齢も同じであるならば、「腹がでっぷりと太っているのが雌、スマートなのが雄」ということが言えると思います。雌雄ともに3歳以上、雌については、できれば4歳以上の鯉を選んでください。

まずは先行して雄の錦鯉を容器に放します。数日して、雄の体調に異常がないようであれば、続いて雌の錦鯉を放しましょう。成熟した雌雄のペアであり、天候さえよければ、早ければ翌朝の夜明けと共に、遅くとも数日中には、産卵行動がはじまります。おそらく、あなたが目を覚まして錦鯉の様子を見に行ったときには、あたり一面に飛び散った水しぶきと、腐った魚の死骸が放つような生臭いにおい。それから、白濁した水の中での産卵行動を発見することになるでしょう。人口水草には、何重にも積み重なるようにして卵が付着しているはずです。

それでは、容器から錦鯉を取りだしましょう。まだ産卵が終了したわけではありませんが、この時点でも、数万粒から十数万粒の卵が、水草には付着しています。



密着状態の卵です。
透明なものが生きている卵、白いのは死卵です。


親鯉の去った容器の中では、雄の精子を原因として白濁した水が悪臭を放っているはずです。放置すると、いくらエアレーションをしていても急速に水が腐って、卵の全滅を招きますので、すみやかに水を交換しなければなりません。事前に別の容器に、汲み置き水を用意しておき、水草をとりだし、そちらに移動してエアレーションを施すという方法をとるのがよいでしょう。産卵をさせた容器のまま、水を換える場合でも、水道水を、直接、水換えに使うのではなく、汲み置きをして塩素が抜けきった水と交換してください。どちらの場合も、乾いては卵が死んでしまいますので、すみやかな作業が必要です。スペースが許せば、全滅を避けるために、この時点で、人口水草を孵化させる容器と、産卵に使った容器の二つに、卵を分割させておくのが、理想的な方法です。

さて、それでは水の交換も終わり、水の満たされた容器内では、人口水草と、容器自体にびっしりと付着した卵に対して、エアポンプから、十分に酸素が供給され続けている状況までたどりつきました。天候がよければ、数日で孵化がはじまりますが、そうなると今度は餌が必要です。

紙面がつきてしまいましたので、簡単な説明にとどめますが、稚魚の餌として最も適しているのは、微生物の一種のミジンコです。水が張られた水田や池沼などに生息していますので、女性用ストッキングを利用して網をつくり、明け方に水面付近で薄赤く群れて動いているミジンコをすくってきて与えるのが一番です。

けれども、それが面倒くさい方には、熱帯魚店で、ブラインシュリンプという海水に住む微生物の卵が売られていますので、それを使っても良いでしょう。ペットボトルに塩水と卵を入れて、丸一日エアレーションをしていると孵化しますので、濾しとって与えます。難点は、その値段が馬鹿にならないことでしょう。

第三の選択として、ゆで卵の黄身を使います。つぶした黄身をガーゼに包んで水中に入れ、ゆすってやるとガーゼの編み目から、細かくなった黄身のみ水中に溶けだしますので、これを稚魚に食べさせます。欠点としては、食べ残しが底に溜まって水の悪化の原因となることです。

第四に、市販されている観賞魚用の餌を細かくすりつぶして与えるという方法もありますが、黄身より小さくはなかなかならないため、稚魚の口には大きすぎるという欠点と、やはり食べ残しの沈殿という問題があります。

いずれの餌を与える場合も、稚魚の時期ほど、少しずつ何度も餌を与える必要がありますので、こまめに与えてあげてください。



生まれた稚魚には、餌が必要です。
水面に浮いている白いものは、粉末状の鯉の餌です。


最後になりましたが、限られたスペースの容器内で、孵化した稚魚をすべて大きく育て上げることは不可能です。残酷なようですが、ある程度の稚魚が水と一緒に流れ去ってしまうことは覚悟した上で、少量ずつでも沈殿物をホースで吸い出し、足し水をしていくという方法をとるのが、一番だと思います。

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